あなたは、テレビやインターネットで、”No.1″という言葉を見たり聞いたりしたことがありますか?
例えば、「日本でNo.1の売上を誇る商品です」「No.1の美容院に行ってみませんか」「No.1の専門家が教えるコツはこれです」などというフレーズです。
このような広告には、消費者の心理をくすぐる効果があります。なぜなら、人はNo.1に惹きつけられるからです。では、その理由は何でしょうか?
アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士によって提唱された脳の働きを説明しようとする認知心理学の一種に、”選択理論心理学 “というものがあります。
選択理論心理学では、人は内側から動機づけられると考えます。そして内側から動機づけるものとして、「生存」「愛・所属」「力」「自由」「楽しみ」を5つの「基本的欲求」と考えます。
これらの欲求は、人の行動や感情に大きな影響を与えます。
では、No.1に惹きつけられるのは、どの欲求に関係しているのでしょうか?答えは、すべての欲求に関係していると言えるのです!それぞれの欲求とNo.1の関係を見てみましょう。
- 生存:人は、生きるために必要なものを求めます。食べ物や水、衣服や住まいなどです。No.1の商品やサービスは、その品質や安全性が高いという印象を与えます。そのため、生存欲求を満たすと感じるのです。
- 愛・所属:人は、他人との関係や社会的なつながりを求めます。家族や友人、恋人や仲間などです。No.1の商品やサービスは、あるグループの人々の仲間内で、人気や評判が高いという印象を与えます。そのため、そのサービスに触れることで愛・所属欲求が満たされそうと感じるのです。
- 力:人は、自分の能力や価値を認められたり、影響力を持ったりすることを求めます。仕事や学業、趣味やスポーツなどです。No.1の商品やサービスは、その効果や成果が高いという印象を与えます。そのため、力欲求を満たすと感じるのです。
- 自由:人は、自分の意思や選択を尊重されたり、束縛や制約から解放されたりすることを求めます。時間や場所、方法やスタイルなどです。No.1の商品やサービスは、柔軟性や多様性が高いという印象を与えます。そのため、自由欲求を満たすと感じるのです。
- 楽しみ:人は、快楽や喜びを感じたり、興味や好奇心を満たしたりすることを求めます。音楽や映画、ゲームや旅行などです。No.1の商品やサービスは、その魅力や面白さが高いという印象を与えます。そのため、楽しみ欲求を満たすと感じるのです。
以上のように、No.1に惹きつけられるのは、人の5つの基本的欲求が、かなりの程度満たされるからです。
もちろん、これは一般的な傾向であり、個人差や状況によって異なる場合もあります。しかし、広告の効果を高めるためには、消費者の心理を理解することが重要です。選択理論心理学は、その一つの手がかりとなるのです。