あなたは、テレビやインターネットで見かける広告に、どのくらい信頼を置いていますか?
「この商品は、○○の調査で、消費者満足度No.1に選ばれました!」というような、自社の商品やサービスをアピールするために、”No.1″表記を使用する広告は、よく目にすると思います。しかし、その”No.1″という言葉には、どのような根拠があるのでしょうか?
調査を行った対象は何人で、どのような基準で選んだのでしょうか?調査方法は公正で、信頼できるものでしょうか?また、調査を実施したのは、自社なのか、それとも第三者機関なのか、その調査会社の名前は何でしょうか?
これらの情報は、消費者にとって、広告の信頼性や商品の品質を判断する上で、非常に重要なものです。しかし、残念ながら、多くの広告では、これらの情報が不十分に表示されているか、あるいは全く表示されていない場合があります。これは、消費者に対して、不公正で、不安を与える広告と言えるでしょう。
では、商業目的の広告で”No.1″表記を使用する際には、どのような情報を表示すべきなのでしょうか?
実は、これについては、法律で定められています。
消費者庁が発行している「広告表示ガイドライン」によると、”No.1″表記を使用する場合は、以下の情報を同時に表示する必要があります。
- 調査を行った対象(例:全国の20代~60代の男女1000人)
- 調査の時期(例:2024年1月)
- 調査方法(例:インターネットアンケート)
- 調査項目(例:商品の満足度、使用感、効果など)
- 調査結果(例:商品Aの満足度は、平均4.5点で、他の商品よりも高かった)
- 第三者機関による調査である場合、その調査会社の名前(例:株式会社ABCリサーチ)
これらの情報を表示することで、消費者は、広告の内容に対して、より納得感や安心感を持つことができます。また、広告主は、自社の商品やサービスの品質や価値を、公正に、安全に、消費者に伝えることができます。
“No.1″表記は、消費者と広告主の双方にとって、メリットのあるものになるのです。
しかし、残念ながら、まだまだ、これらの情報を表示しない広告も多く存在します。
消費者庁は、これらの広告に対して、是正勧告や措置命令などの行政処分を行うことができますが、それだけでは、広告の品質を向上させるのは難しいでしょう。
消費者としては、自分の目で広告を見極める力を養うことが大切です。そして、広告主としては、消費者の信頼を得るために、自主的に、適切な情報を表示することが求められます。
“No.1″表記は、消費者の購買意欲を高める強力な広告手法ですが、それだけに、その責任も重大です。消費者と広告主の双方が、その意味を理解し、正しく使い、正しく見ることで、より良い広告社会を築いていきましょう。